今回の内容は、1994年(28年前)の塾長講話。
そのせいか、荒々しく厳しさを感じさせられる内容であり、基本的な内容は経営の12か条の一部であるのだが、今までとは違った語り口であるために、新たな発見を多く得ることができた。
「トップの「器を大きくする」ためには、心に立派な、判断基準をつくること。そして、その判断基準を「人間として何が正しいのか」と定めれば、過ちを犯すことはなくなっていく。」
そして、「経営理念を「全従業員の物心両面の幸福を追及する」と定めたことで、厳しく指導することに躊躇することがなくなった。「みんなの会社だから、いい加減に働くな!お前も頑張れ!。」「文句を言うやつはもういらん。なんでそんな奴の一生の面倒を俺がみなければならんのだ。」「一生懸命働きたいという人が集まり、そのみんなを幸せにするための会社だから、辞めたい人は必要ない。」」
経営理念の「従業員の物心両面の幸福を追求する」とは、ただ受け身で待っていれば、社長が運んできてくれるというのではない。全員が幸せになるために、みんなで頑張るのだ。それは無理ですというのなら、違う会社に行った方がいい。
次に、「全員がベクトルを合わせ、力を合わせて仕事をしていく」ために、「社長が従業員を惚れさせなければならない」とあった。
私は特にそうなのだが、「この人についていきたい」と思う人の言うことなら認めてもらおうと頑張ろうとするが、そうでなければ「仕事だから」と消極的な考え方で、使命感もなく、やらされ仕事になってしまう。
現在、PTAの役員(広報部長)を長年やっているが、PTA会長によって私のモチベーションは大きく変わっている。前にも書いたかもしれないが、この会長のためなら!と思うとすごい力がでて、周りも巻き込み、閉鎖的な学校の体質と戦いながらもPTA広報紙の改革を行って、結果コンクールで県で1位、全国審査にも入賞することができた。その時のメンバーとは、今でも信頼関係で繋がっている。
それが、今の会長はいい人なんだけど頑張ろうという気力が起きず、とりあえず仕事だからやらなきゃという感じでやってる。周りも仕方なしにやってるような感じ。結果も大したことないし、仲間同士の結束感も薄い。
同じ人間でも、トップでこんなに変わるのだ。
従業員が悪いんじゃない、全てはトップの責任なのだ。
では、従業員が惚れ込んでくれ、尊敬してくれる経営者になるにはどうすればよいか?
自分のため(利己)に経営するのではなく、従業員の幸福のため(利他)という純粋な気持ちをもち、常に奢らず自分の教養を磨き、知性を磨き、人格を磨いていくこと。
それらを教えてくれているのが盛和塾なのである。
そしてベクトルを揃える理由については以下のように記されていた。
「中小企業が力を出そうとするならば、なんとしてもみんなの考え方を、一緒の方向へ揃える、つまりみんなが一緒になって同じ方向を向いてくれれば、少しでも仕事ができるわけだから、ベクトルを揃えなければならない。」
「みんなについてきてもらって、みんなの力を集めなければならない。そのために朝礼で「実は昨日、こういうことがあったけど、これじゃ困るのです。こうしてもらわないといけません」と父親ほど年の違う専務をみんなの前で立たせて説教をした。」
当時の塾長の厳しさを感じた。そして、
「ベクトルを揃えるには、説得をしなければならない。説得とは、相手に「なるほどな」と思わせること。」
そのために「自らを磨いていかなければならない」のだ。
私はこれまで従業員を説得することはほとんどしてこなかった。
しかし、このフィロソフィを学び出してからは、少しずつ「会社をこうしたいんだ。だからこうして欲しい」ということを正直に伝えられるようになってきた。
まだまだ全員のベクトルは揃っておらず、ようやくスタート地点に立てたかなという程度だが、これからもっとみんなの力を合わせ、更に大きな力が発揮できるよう努めていく。
そして「誰にも負けない努力をする」ことが「盛和塾での第一歩」であり、一番大事なこと。朝7時から夜10時まで働いていても、それより働いている人がいれば、誰にも負けない努力とは言えない。まだまだ私は第一歩も踏み出していなかった…(~_~;)
そして最後に「儲け」に対して記されていた。
どうも日本人は儲けることに対して罪悪感があり、私も少なからずそういうあったのだが、この文章を読んでなるほどと思った。
「きれいな心というのは、自分が儲からなくてもよいというものではない。五人でも十人でも二十人でも、その従業員を幸せにしていくための心である。そのためには儲からなくてはいけない。そして会社が立派にならなければいけない。」
「中小企業の経営者が立派になれば、経済も豊かになっていくし、同時に社会そのものが立派になっていく。経済活動があってはじめて潤いのある豊かな社会ができる。」
「県庁や市役所や学校など、それらは全部、われわれの税金で賄われたもの。では、誰がもとのお金を作ったかというと、われわれの経済活動でしかない。それが回り回って税金となり、国の予算として流れていく。事業をしている人達がいるからこそ、国がある。そして従業員にも給料を払っている。」
我々が頑張って稼ぐことで、社会が豊かになっていくのだ!
だからもっと胸を張って堂々と稼いでいこう。